
「福島学カレッジ」に参加したきっかけは何ですか?

佐藤
これまで福島で生きてきて、自分は福島が好きだということに気が付きました。しかし、その「好き」という感情は漠然としたもので、好きなものに対してその理由を具体的に示すことの出来ないことがとてももどかしく過ごしていました。そんな時、福島学カレッジの募集を知り、表現コースを受講することで福島がなぜ好きなのかを自分なりに表現出来るようになれたら、と思い参加を決めました。


「福島学カレッジ」ではどんな作品をつくりましたか?

佐藤
WIP展では、自画像と参加型のアート作品を制作しました。自身と福島の共通点を見出し、その要素を2つに取り入れました。来ていただいた方に、福島に対する誹謗中傷の言葉の上へ福島に対する前向きなメッセージを書いて貼っていただくという試みもしました。多くのメッセージが集まり、福島への心無い言葉が新しくポジティブな言葉で覆い隠されたことに、喜びを感じました。
本展では、「福島は私にとって光である。」というテーマを自分の中で設定し、光である福島により自身が照らされ自己表現が出来る、という様を空間で表しました。あえて福島の比重を減らし、福島を示すものを灯りだけにすることで、「私にとっての光は福島であるが、福島にとっての光は不在である」ことを表現し、観てくださった方に何が福島にとっての光になりうるのか、について考えてもらおうとしました。


作品をつくっていく中で大変だったことは?

佐藤
WIP展の作品では、福島に対する誹謗中傷の言葉を探す作業が大変でした。好きな福島に対する、誰かからの心無い言葉をわざわざ自分で探しているということが、とても辛かったです。
本展の作品では、掲示物と短歌の制作が大変でした。自己表現をするため、自身と向き合うことが私にとっては苦しいことでした。また、福島をテーマに短歌を詠む際、他の人が見ても「これは福島を詠んでいる」とわかるようなものにすることが難しかったです。
WIP展も本展も、言葉との付き合い方、扱い方に苦戦しました。

「福島学カレッジ」を受講した前後では、自分自身にどんな変化がありましたか?

佐藤
表現方法が身についたのはもちろんですが、自分がやっていることに自信が持てるようになりました。どこか、期待外れだと思われないかどうかを気にしながら行動する節がありました。しかし、講師の先生方にお褒めの言葉をいただいたり、カレッジ生の皆に素敵な感想を言ってもらったりしたことで、やっていること、作っているものに対して自分で肯定することが出来るようになりました。


「福島学カレッジ」の魅力をひと言で!その理由も教えてください。

佐藤
ずばり、「貴重な時間」です。福島学カレッジでは、あなたが知りたいこと、やりたいこと、表現したいことをたくさんの人達が支えてくれて、否定せずに伴走して見守ってくれます。典型的になっている学校教育とは全く違い、自身の考え方やものの感じ方などを尊重されて、他の学生たちと共に福島や表現に向き合うことのできる時間というものは、とても貴重だと私は思います。また、中学生・高校生の時に、保護者や学校の先生以外の大人と出会う機会は滅多にありません。自身の大人に対する像が、福島学カレッジでの様々な大人との出会いによって広がり、自分は将来どのような大人になりたいかを考える材料が多くなります。

受講を検討している後輩たちにメッセージをお願いいたします。

佐藤
参加するかどうかを迷う要素が気持ちの問題だけなのであれば、ぜひ参加して欲しいです。「本当に自分に出来るかな」「はじめてのことに挑戦するのは怖いな」などと思うかもしれません。しかし、応募フォームを押す分の勇気一つで、最初の不安も忘れるほどの経験をすることが出来ます。もしかしたら、この福島学カレッジが、あなたの人生のターニングポイントになるかもしれません。私は、福島学カレッジに参加したことではじめて、人生の起承転結の承がやっと訪れたような気がしています。
